流浪の月(著:凪良ゆう)【読書感想】

 

 

 

※本の内容のネタバレを含みます※

 

 

 

2020年本屋大賞受賞作品。

読み始めは、「誘拐モノかなあ〜」なんて思いながら読んでいたのですが、そんな簡単なお話ではありませんでした。

 

物語は、19歳の男子大学生・文と、小学4年生9歳の少女・更紗が出会うところから動き始めます。

「家に帰りたくない」と言う更紗に、文は「うちにくる?」と言い、ふたりは文のマンションで2ヶ月間を共に過ごすことに。

どうしようもない息苦しさを感じていた更紗は、文との生活で救われた気持ちを得るのですが、文は女児誘拐犯として逮捕されてしまいます。

 

それから別々の人生を歩んでいたふたりだったけど、15年後、再会。

再び関わり合う中で、お互いがお互いにとってとても大切な存在だということを実感していくんだけど、元誘拐犯と元被害女子のふたりという事実が、ふたりが一緒にいることを許してくれません。

34歳男子と24歳女子なら、ありふれた年の差カップルなはずなのに。もしもこの2人が出会ったのがあの時でなくて、「今」だったら……と読んでいて思わずにはいられませんでしたが、あの時に出会ったからこそお互いがお互いにとってのかけがえのない存在になったんだろうなあ。

 

実際更紗が誘拐されていたことになっている2ヶ月間、ふたりはただ一緒に暮らしただけなんですが、更紗は「大変な目にあった可哀想な子」と世間に認識され。

「何もなかった。文は優しかった」と言っても、一般の人は信じてはくれない。何度真実を他の人に伝えても、常識が邪魔をして、本当の話を聞こうともしてくれない。

だけどそれも、更紗に対して「優しくしたい」とか「理解したい」とか「何かできることはないか」とかの善意から来るもので。

そういう周囲とのどうしようもないすれ違い、世間から自由になりたいという気持ち。それらを共有できるのが、文だけだったから……。お互いがお互いの前でだけ、自由でありのままにいられる存在になったのかな、と思いました。

 

更紗の「事実と真実はちがう。世間が知ってるつもりになってる文と、私が知ってる文はちがう」という言葉が、全てを表していたと思います。

心理描写が秀一で、更紗の息苦しい気持ちが本を読んでいて痛いくらいに伝わってきて、しんどかったー。

でもそのぶん、後半、文も更紗のことを希望と捉えていて、再会を願っていたことがわかった時は、とても嬉しかったです。

更紗と文の、恋では決してないけど、一緒にいたいという気持ちだけがあり一緒にいるような関係が、とても素敵だなと思いました。

「わたしは文に恋をしていない。キスもしない。抱き合うことも望まない。けれど今まで身体をつないだ誰よりも、文と一緒にいたい」

……痺れるよね〜。

 

このままいくと結末はどうなるのかと思いましたが(マジ救いがない感じで終わるんじゃないかという恐怖……)、書タイトルの「流浪の月」って感じの生活をしていて、前向きに流れていくようなふたりが描かれていたので、よかったです。

 

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