森に眠る魚(著:角田光代)【読書感想】

 

 

 

※本の内容のネタバレを含みます※

 

 

 

5人のママ友であったはずの母親の、お受験を通して険悪になっていく過程を描いた作品。

下手なホラーよりも怖かったです。

 

5人が知り合い仲良くなった当初は、全員が「心強い」「仲の良い人ができて良かった」と言っているし、心からそう思っているのですが、

「子どものお受験」という話が出だしたあたりから、不安になったり嫉妬したり抜け駆けされたような気になったりとお互い疑心暗鬼になり、徐々にギスギスしていく様が、めっちゃ怖いー!

「そのうち誰かが誰かを殺すんじゃないか」と思うくらいの追い詰められ方を全員がしていて、特に物語の後半は読んでいて緊張しました……。読みながら感じる息苦しさがハンパなかったです。

結局この小説内では殺人のような刑事事件は起こらなかったのですが、この小説は実際にあった事件である「お受験殺人」とも呼ばれた「文京区幼女殺人事件」という事件をモチーフにした小説であるということを後から知り、納得しました。

 

私はまだ子どもが2歳なのでお受験は関係ないので、「お受験を控えた幼稚園のママ友の世界」というのはよく分からない世界ではあるんですが、多分実際はここまでギスギスしていくことは珍しいんじゃないかと思います。

だけど、それでも登場人物の心の移り変わりと関係の崩壊されていく様がとてもリアルに感じられたのは、おそらく著者の文章が上手いからなんだろうなあ〜と思いました。

最初は母親5人ともすごく良い人に見えるんだけど、だんだんと全員の「ん……?」っていう部分が見えてくる(というか、追い詰められて狂っていったが故におかしくなっていった)というところも含めて、見事な表現でした。

人間の醜い部分が、これでもかというくらいに鮮明に描き出されていて、すごかったです。

主な登場人物だけでも、母親5人にその子どもたち(兄妹がいる家庭もあり)や夫と、非常に多く。しかも全員に細かな設定がされているので、序盤は誰が誰なんだかよく分からなくなり、前のページを読み直しながら読書することも多かったのですが、設定が散らかっていないのも、すごいなーと思いました。

読後感は決して気持ちの良いものではなかったのですが、面白かったです!