さよなら世界の終わり(著:佐野徹夜)【読書感想】

 

 

※本の内容のネタバレを含みます※

 

 

とても独特な世界観の小説でした。

私は予備知識なしでこの本を読んだのですが、帯に「純度100%の青春小説」って書いてあったから「キラキラの甘酸っぱい系の青春小説かなあ〜」なんて想像していたんだけど……とんでもない。

確かに青春小説ではあるんだけど、ドロドロの現実的すぎる重苦しい青春小説でした。厨二っぽさも強くて私は結構好きだと思いましたが、ものすごく読む人を選ぶ系の話だと思います。

物語上で主人公は学校でイジメを受けている(受けるようになった、という表現が正しいかな)ので、イジメの胸糞描写も多数ありなので、そういうのを読むことが苦手な人も厳しいかなと思いました。第二章がイジメが主に描かれている話だったので、胸糞すぎて正直途中で読むのをやめようかと悩んだぐらいだった……。

 

この物語の主な登場人物は、ある事件をきっかけに特殊能力を得た高校生たちによるもので、「死にかけると未来が見える主人公男子」「死にかけると幽霊が見える女子」「死にかけると他人を服従させることができる男子」の、3人。

全員「死にかけると」能力が発動するということで、首吊り・リストカットにスタンガンなど、自殺しかけるシーンがてんこ盛りー。ですが、これはグロくはなくてマイルドな描写だった。

そしてこの3人の最初の出会いが、「社会からはじかれた若者たちの更生施設」でだったということもあり、3人ともが心に暗いものを抱えています。言葉を選ばずに表現するなら、病んでる、って感じ。

その中でそれぞれが抱く息苦しさと、「死にたい」という気持ちとたたかう様の、なんとリアルなことか。

死にたいのか生きていたくないのか悩み現実を諦めている姿が、あまりにも切実な語り口調で描かれているのが痛々しく、読んでいて苦しい気持ちになりました。

こんなにも「死」が色濃く描かれている物語も、珍しい気がする。

 

「生きていれば良いことも悪いこともある。でも、悪いことのせいで憂鬱なわけではない。生きているということ自体が憂鬱なのだ。」

↑これがきっと彼らの痛みの本質だったんだろうなあ、と。

でも生きていることに希望を見出せなかった彼らだったけど、物語のラストは少しだけ希望がある感じの終わり方だったので良かったです。

 

あと「あとがき」での作者の言葉に、納得したからこの物語を受け入れられたという部分もあります。

 

全体的に場面転換が多くて、それも時系列がバラバラだったりしたので、少し分かりづらくなりそうな部分もありましたが、

間に「早送り」や「巻き戻し」の記号が挟まれていたことで、読みやすく。違和感なくスルスルと読み進めることができたのも、工夫がなされていて、いいなあ〜と思いました。