蜜蜂と遠雷(著:恩田陸)【読書感想】

 

 

 

※本の内容のネタバレを含みます※

 

 

 

読む前から、「絶対に面白いにちがいない!」と期待していたこの作品。

直木賞と本屋大賞のダブル受賞した作品であり、取材11年・執筆7年という宣伝文句が印象的な作品です。

そんな恩田先生の渾身の一作で、テーマが音楽コンクール!(私は音楽がテーマの作品が大好きv)

これが、面白くないわけがない〜!

 

しかし、この本、めちゃめちゃ文字数が多いんですよね。二段組で細かい文字がズラーっと500ページ。まるで辞書。……ということで、かなり気になっていた作品ではあったんですが、読むのに気合がいるため、けっこう長い間積んでいた作品でもありました。

でも、読み始めたら、長さはあまり気にならなかったかな。

内容が面白いことに加えて読みやすい文章ということもあり、スルスルと読めました。

 

もう! めちゃめちゃ! 面白かった!!!

そして長い作品だから、読み終わった後に「読んだぞ!」という謎な達成感もありました。

 

 

 

物語の内容は、ひとつの国際ピアノコンクールを舞台に、コンテスタントを中心としたコンクールに関わる様々な人々を視点に描かれた、青春群像劇。

本当に最初から最後までひとつのピアノコンクールでの出来事しか描かれていないので、失敗すると物語が単調になりがちな設定だと思うのですが、視点が次々と変わるし、描かれている心理描写がどれも深く丁寧だったので、全く飽きることなく読了することが出来ました。

 

私はクラシック音楽に詳しくない(というか知らない分野……)し、ピアノのことも全然わからないんですが、それは読んでいて全く気になりませんでした。

コンクールの段取り(?)も素人にもわかるように、すごく分かりやすく描かれていて。そして演奏の描写もすごかった。「演奏を表現する言葉が、よくこんなにたくさん浮かぶよなあ」と関心するほど。

本だから、そこにあるのは文字だけなのに、どんな感情でどんな景色を思いうかべながら、どんな音色を奏でているのか……聞こえてくるみたいでした。

各コンテスタントの演奏の癖も、読者に明確に伝わってくるのがすごい。

実際、クラシック音楽も聴いてみたいな、とも思いました。

 

そして描かれているのはピアノコンクールだから、物語中でコンテスタントが競ってはいるんだけど、本を読んでいて気になるのはコンクールの順位などという「結果」の部分ではなく、コンクールを通しての「出場しているコンテスタントの葛藤や成長」とか、そういう部分だったのも面白かった。

たぶん物語のテーマも、そういう部分だったのだと思います。

 

物語の中には、いわゆる音楽の天才が何人も登場して、その天才たちの視点でのコンクールも描かれているんだけど、みんながみんな努力する天才で、そこも胸熱。

天才にも、塵や亜夜のような感性の天才と、マサルのような要領が良い系の天才と、別のタイプの天才がいるのが面白かった。

そして、典型的な努力型の凡人である明石の存在も良かったなー。

ていうか! 最初に塵・亜夜・マサル・明石の1次から本選までのコンクール演奏曲目が書かれていたから、この4人は本選まで残るのかと思っていたんで、明石が2次で落ちてしまったのは衝撃だった。。明石も残ってほしかったけど、これはスタートだ今後も音楽続ける、みたいな感じだったから、嬉しかったです。

 

天才だからこその悩み、迷い。

特に、小さい頃に天才少女として活躍していたけど、母の死を機に一線を退いた亜夜なんて、物語序盤と終盤では音楽に対する姿勢がまるで別人で、、、本選での姿は素敵だったなあ。

「あたしの音楽。それは、お母さんの中でも、あの黒い箱の中にあったわけでもない。ずっとここにあった。あたしの中にあった。ずっとあたしと一緒にいてくれた。そのことに気付かなかった。気付けなかった。それだけのことなのだ」って……本当、強くなったよねえええ。と、感慨深いものがありました。

塵がホフマン先生から受け取ったものがあって、「音楽を自由に」という課題をもって演奏をしていて、その演奏が色々な音楽家に影響を与えていて……特に亜夜は塵と出会ったからこそ、コンクールの中でここまでの成長を遂げることができたのだと思うし、人と人との巡り合わせもすごいなあ、とも。

 

この物語で主に描かれていたコンテスタントの4人は、全員が「ここがはじまり」だったと思うので、今後の彼らの姿も気になる(音楽的なこと以外でも、マサルと亜夜の関係も気になります)、、、という想像の余地があって物語が終わるところも面白かったです。

 

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