ファーストラヴ(著:島本理生)【読書感想】

 

 

※本の内容のネタバレを含みます※

 

 

直木賞受賞作で、メディアミックスもされた作品。

ちなみにドラマの方は未視聴です。

 

内容のことは全く知らずに読み始めたのですが、読む前に本のタイトルから私が想像していた内容と、全く違ったお話でした。

「ゴテゴテの恋愛小説かなあ」なんて思っていたのですが……確かに恋愛模様も描かれているけど、どちらかというと、家族のあり方とか小児への性的虐待についてだとかの方がこの本の主題のように思えました。

 

物語の主人公は臨床心理士で、過去に主人公とイロイロあった弁護士の義弟と、殺人事件の真相について探っていく、というお話でした。

 

面白い設定だけど、結構特殊な設定。登場頻度が高いキャラクターの職業が専門職ということで、書くにあたっての下調べが大変だったんじゃないかな〜と思いました。

だって、専門職というだけでなく、主人公の臨床心理士は新人ではなく講演会とかテレビにも呼ばれるようなベテラン設定だし……!

私は臨床心理士さんと直接関わったことがないんだけど、この主人公の対象者へのアプローチの仕方が、病棟看護師をしていた時に度々関わっていた精神科医とはわりと違う感じのような印象を受けたので、とても興味深く読むことができました。「臨床心理士さんって、患者さんにこんな風に質問するんだ!」みたいな。人の心に関わる職業はとても難しいだろうし、私には出来ないと思うので、尊敬します。。

しかし、最初から最後まで、この主人公には一切共感することができないままだったw

仕事面ではすごいけど、プライベートが……いくら家庭に問題があったからといって、夫に出会うまで、勢いでする性行為で避妊をしないことを全く疑問に思わなかったって何、と頭の堅い私は思ってしまったらもう無理でしたw

逆に夫の我門さんがカッコよかった〜。

前述しましたが、義弟の迦葉(と書いて、「かしょう」と読む。すごいキラキラネーム!)と主人公は過去にイロイロあって、お互いのことを特別に想っているような関係だったのですが、それを全部知っていながらずっと黙っているという懐の広さ。そして家族のために報道写真家という夢をすっぱり諦めるという潔さ。おまけに顔面もイケメン設定!笑

 

……と、キャラクターについての話が異様に長くなりましたが、ストーリーも面白かったです。

殺人事件の真相を追っていくにつれて、徐々に明らかになっていく犯人の女子大生・環菜の過去がわりと壮絶で。

読んでいて痛々しくて苦しく辛くなってしまうほどのものだったのですが、

でも過去が紐解かれていき、主人公と一緒に過去に向き合うことで、環菜の心の傷が癒えていくその描かれ方が、とても繊細で良かったです。

物語後半での法廷での環菜の姿は、登場したばかりの状況に混乱しているだけの環菜とは全くの別人になっていて。その様子を読んで、単純に「よかったねー」という気持ちと、「もっと早く……殺人事件を犯す前にカウンセリングを受けられていたら良かったのになあ」という切ない気持ちとを抱きました。

本文に書かれていた、子供は自分が置かれている状況しか知らないからそれを「普通」だと思い、生きていく。その事実が、悲しいなと思いました。

 

ストーリーでひとつ不満があるとすれば、環菜が初めて付き合った彼氏との交換ノートの内容が結局明かされなかったことかな……。

いかにも伏線です、的な書かれ方をしていたので。。

 

でもそれ以外はとても面白かったです。

内容的には暗い話なんだけど、最後で全てが解決するので、読後感もすっきりとしていて良かったです。

 

 

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