夜明けの街で(著:東野圭吾)【読書感想】

 

 

 

※本の内容のネタバレを含みます※

 

 

 

これまでに私が読書したことがある東野圭吾さんの作品は『白夜行』のみ。

ということで、東野圭吾さんの作品を読むのは、2作目になります。

 

「なんとなくタイトルがかっこいい感じ!」という理由でこの本を手に取ったのですが(夜明けとか、そういう仄暗い感じのワードが好きなんです……)

読み始めてびっくり。なんと不倫の話!

東野圭吾さんの小説=ミステリー、というイメージを勝手に強く持っていたので……びっくりでした。でも調べてみたら、かなり色々なジャンルの小説を執筆されている作家さんなんですねえ。知らなかった。多才ですごい!

しかし物語を読み進めていくと、、、これがただの不倫の話ではないんですよね。

序盤から小さな伏線は張られていたんだけど、段々と主人公の不倫相手に不審な様子が出てきて、「真実は一体どうなのか?!」っていうのが気になり、後半になればなるほどページをめくる手が止まりませんでした。

 

 

物語の具体的なところに触れながらの感想を書いていくと……

 

序盤は、ごく一般的なサラリーマンである主人公の渡部が、派遣社員の女性である秋葉と関係を持ち、だんだんと惹かれていく様子が描かれている、まさに恋愛小説的な展開。

最初は不倫否定派だった渡部が、ダメだと思い自分を律しようとしながらも、だんだんと自分の中の恋する気持ちに抗えなくなっていく……という心理描写が丁寧で繊細で、だからこそ胸に響くものがあり。

渡部が不倫否定派だから、読者が不倫否定派であってもその気持ちの揺れ動く様に共感しやすいのも良かったです。(実際、私も不倫は否定派なのですが、共感できました。ただ、最終的に不倫相手を取るぞという決断をする場面を、肯定しながら読むことは流石にできませんでしたが)

 

で、序盤はそんな感じなんだけど、渡部と秋葉との関係が深くなり、渡部が秋葉のことを知っていくに連れて、渡部は秋葉の背景にある複雑な事情を知ることに。

その複雑な事情とは、「15年前に秋葉の父親の愛人が殺された」という悲惨な事件が起こったこと。そして秋葉はその殺人の第一発見者だったことを、渡部は秋葉に告げられます。

更に、後日、秋葉がその殺人の容疑者であることも関係者からの話から分かり……

秋葉が殺人の容疑者であることが分かる頃には、渡部は完全に秋葉に夢中になっているんですよね。妻・娘と別れて秋葉と未来を歩んでいこう、という決心をしてしまっているくらいに。

なので、渡部は当然悩みます。

「妻や娘を捨ててまで秋葉を取っていいのか」という普通の不倫における悩みだけでなく。「もしも秋葉が殺人犯だったとして、それで自分は秋葉を受け入れることができるのか」という悩み。

……その葛藤する様子が、もうなんというか読んでいて苦しくなりました。

 

で、真実は、秋葉は殺人事件の犯人ではなくて、愛人は父の他の浮気のカモフラージュにされていたことを苦に思っての自殺だった、という展開だったのですが……

秋葉が殺人犯じゃなくてよかったー、これから2人で幸せにやろうぜー、……という結末なわけではなく。

秋葉はそんな父を恨んでいて、父への当て付けで不倫をしていただけだった、ということで、物語の終盤で2人は別れてしまうんですよねー。

不倫で最終的に不倫相手と幸せに暮らす物語はあまりないので、最後渡部と秋葉がキレイに結ばれるとは思ってはいませんでしたが……そういう別れ方なんだ?!という衝撃。

あと物語の最後で明かされる、夫・渡部の不倫に実は気がついていながらも何も口に出さずに気がつかないフリをしつつ、密かにキレながらも元鞘を願う奥さんの描写が、めちゃめちゃ怖かったw 短い文章だったのに、あの怖さはすごいw

 

最初から最後まで、とても面白かったです!

展開が全然読めなくて、読んでいて本当にどきどきしました。

 

 

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